ハイ!ど~も、バンディーです!!
今回紹介する作品は安壇美緒の小説【ラブカは静かに弓を持つ】をネタバレ無しで紹介していきたいと思います!!
久しぶりに良い小説に出会ったと心から思える作品でした!音楽小説ですが細かい事は気にせずまずは1度読む事をオススメします!!
読者の心に響く名作小説!!
概要
- 作品名:【ラブカは静かに弓を持つ】
- 作者:安壇美緒
- 発売日:2022年5月2日(単行本)
- 発行所:集英社
あらすじ
少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇し、以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘。
引用:集英社
ある日、上司の塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。
目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむこと。
橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉のもとに通い始める。
師と仲間との出会いが、奏でる歓びが、橘の凍っていた心を溶かしだすが、法廷に立つ時間が迫り……
数々の賞を受賞
今回紹介している【ラブカは静かに弓を持つ】は『未来屋小説大賞1位受賞』、『大藪春彦賞』を受賞しており、また『本屋大賞』、『吉川英治文学新人賞』ノミネートされています!
受賞は2つだけ(2023年3月5日現在)ですがノミネートも2つあるのでこの2つも受賞してくれると信じています!そのぐらい良い出来の作品です!
色々な文学賞があり受賞しているから全て面白いとは限りませんが、何を読もうか迷っていたり初めて読む作品に対してはある程度の『目安』になるので参考にしてみて下さい!
著作権問題が気になって
今作【ラブカは静かに弓を持つ】をそもそも読もうと思ったきっかけは作中にもある通り、音楽教室が著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむべく主人公橘が生徒として潜入する話がかなり面白そうだったからです!
たまにあらすじや設定を見ただけで『これは面白い作品だ!』って思える作品に出会えますが今作【ラブカは静かに弓を持つ】はまさにそれでした!最近では紺野天龍【神薙虚無最後の事件】もそうでしたね~。
実際に今作の元にもなった話題で『音楽教室のレッスンでの演奏に対する音楽著作権使用料の支払いを巡り、ヤマハ音楽振興会など音楽教室側と日本音楽著作権協会(JASRAC)が争っていた訴訟』がありバンディー的にも気になった問題で記憶に残っていたので、その問題を上手く取り入れた今作【ラブカは静かに弓を持つ】読んでみたいと思ったもうひとつの理由でした!
結果としては音楽教室側が日本音楽著作権協会に著作権料を支払う必要なしと判断が出たようです。
闇を抱える主人公の潜入
今作【ラブカは静かに弓を持つ】の主人公は全日本音楽著作権連盟(現実は日本音楽著作権協会)に勤務する青年橘がミカサ音楽教室(現実ではヤマハ音楽教室)に潜入するスパイ×音楽小説です!
橘は過去に暗い過去を持っておりもともと習っていたチェロを辞めるきっかけにもなった事ですが、その『事件』は作品を読んで行くと徐々に判明していくのですが、その影響で不眠症が続いていますそんな闇を抱えたまま上司の命令で極秘にミカサ音楽教室に潜入し生徒を装いミカサにとって不利な証拠を集める任務につくのでした。
チェロ幼少期に習っていたためミカサに潜入を命じれる事になりますが、橘自身は仕事の為と割り切ってるクールな印象を最初は感じました、実際にミカサ音楽教室に通うために体験入学で担当講師の浅葉に出会い大きく変わっていくのでした!
師匠と仲間との出会いと葛藤
橘は仕事で裁判で有利になるな証拠を集める為に通い始めたはずが、師匠浅葉との出会いでまたチェロと向き合い始め音楽の楽しさを思いだします、そのお陰で不眠症も回復傾向に向かっていきます。
最初は仕事の為に潜入し個人を殺してボールペン型の録音機で証拠集めの為に録音しながらレッスンを習っていました、そういった『スパイ』的な要素はハラハラしながら読んでいましたし、証拠集めが完了したら裁判で証人として法廷に出廷することになっており、いずれミカサ音楽教室の人々とも割り切った関係になって行くのも読んでいてわかります。
せっかくの師匠浅葉と橘の関係もいずれ終わってしまうと分かってしまいながら読むのはかなり辛い気持ちが頭の片隅に残ったまま読み進めていきました、バッドエンドは目に見えてますからね・・・。
師匠浅葉のキャラクターはバンディー的にかなり好きで見た目とは裏腹にかなりの凄腕のチェロを弾く人物って所も良かったですが、橘が徐々に心を開きだし浅葉との関係性が築かれていくところが本当に良かったですね~!
浅葉を囲む会(飲み会)で出会ったミカサ音楽教室に通う浅葉の教え子達(年齢も性別も様々)との交流も今まで孤独だった橘のより何処が出来き人との関わりの大切さも伝わってきました。
最初は潜入に対して何とも思わなかった橘が師匠の浅葉やミカサ音楽教室に通う仲間達に出会った事で徐々に心がゆらいでいき葛藤が生まれ始めます、その先に橘はどのような決断を下すのか・・・!
著作権を巡る裁判はどうなるのか
冒頭にも書いてる通りヤマハ音楽教室とJASRACの出来事がベースになっていて音楽教室の著作権はどのようになってるのか気になっていました、ニュースだけを聞くとJASRACが血も涙もないような会社に映りますが実際にJASRACがアーティストの著作権を管理する事でアーティストに還元されていると考えれば偏見を持ってた事は反省しないといけないと思いました!
今作【ラブカは静かに弓を持つ】では一体どのような裁判の行方になるのか?橘は会社の為に裁判で有利になるよう録音した情報を得て本当に裁判に証人として出廷するのか?師匠浅葉との関係は消滅するのか?気になるポイントがいっぱいで飽きさせず最後まで読ませる作品です!
そして、今作【ラブカは静かに弓を持つ】の意味が作中を読んでいて分かった時は本当に上手いタイトルを考えたな!って思いましたね~!!
是非とも映画化を!!
今作【ラブカは静かに弓を持つ】を読んで思ったのは感じと雰囲気が砥上裕將の小説【線は、僕を描く】を思い出しました!!
【線は、僕を描く】は水墨画の話ですが本当に今回紹介した【ラブカは静かに弓を持つ】と似ていて面白さを確信しましたね~!【線は、僕を描く】は横浜流星主演で映画化されています!バンディー映画は観てませんが、砥上裕將原作小説【線は、僕を描く】は読んでいて心に残る作品なので是非ともまだ読んで無い方は読んで欲しいです!
そして今作【ラブカは静かに弓を持つ】も【線は、僕を描く】と同様に絶対に実写化した方が良い作品です!出来れば映画化の方が良いかも!絶対に実際にチェロの演奏シーン聴いたら涙するかも(笑)
読んでいて浅葉やミカサ音楽教室の仲間達や橘の家族の事をもう少し深掘りしてくれたら良かったな~って思うのが唯一残念な点ですね!
絶対に実写化して欲しいのとまだまだ橘の行方を読みたいので、続編か番外編的な作品出たら嬉しいですね~!まだ読んでない方は是非とも読んで損はしない珍しい一冊です!!
【ラブカは静かに弓を持つ】
バンディー的オススメ度
★★★★★★★★★☆