ハイ!ど~も、バンディーです!!
今回紹介する作品は多島斗志之の小説【黒百合】をネタバレ無しで紹介していきます!!
発売された際に1度読んだのですが全く内容を覚えていない為に改めて読んだのですが、何故こんな緻密な内容の作品を忘れていたのやら・・・
作者の2重3重の企みに騙される!?
概要
- 作品名:【黒百合】
- 作者:多島斗志之
- 発売日:2008年10月1日(単行本)
- :2015年8月29日(文庫本)
- 発行所:東京創元社
あらすじ
六甲の山中にある、父の旧友の別荘に招かれた14歳の私は、その家の息子で同い年の一彦とともに向かった池のほとりで、不思議な少女・香と出会った。夏休みの宿題のスケッチ、ハイキング、育まれる淡い恋、身近な人物の謎めいた死──1952年夏、六甲の避暑地でかけがえのない時間を過ごす少年ふたりと少女の姿を瑞々しい筆致で描き、文芸とミステリの融合を果たした傑作長編。
引用:東京創元社
純文学と思いきや・・・
今作【黒百合】は1952年の少年少女3人の淡い夏の思い出と1952年より前の過去のお話が交互に描かれており、今まで読んできたどんでん返し作品我孫子武丸【殺戮にいたる病】や殊能将之【ハサミ男】みたいにガッツリの本格ミステリーでは無いので、そういった作品と思って読み進めるとやや物足りない気がします。
ガッツリミステリー作品では無いですが、重要なポイントでミステリー要素をぶっ込んでくる驚きの作品ってありますよね?乾くるみの【イニシエーションラブ】や【セカンドラブ】は恋愛小説と思いきや・・・今作【黒百合】も最後に驚かされます!!
緻密に練られた仕掛け
【黒百合】は1度読んだだけではなかなか作者の企みを理解するのは難しく、どちらかと言えばミステリー玄人向けの作品だと思います!!
道尾秀介の【向日葵の咲かない夏】のように真実を知ってすぐに世界がひっくり返るような作品ではなく、最初読んだ時は最後の最後で驚きの真実が提示され訳が分からぬまま読み終わってしまう作品となっています!!読み終わって気づくのですが、今まで純文学のように進んでいたお話の中に伏線は張られており、作者の企みに騙され真実を知った時2重3重の意味に気付かされて驚愕するのでした・・・
久しぶりにこんなにも緻密に練られた作品を読みましたし、読んだ後に自分であれこれ考えながら考察する楽しみが出来る本でしたね~!タイトルの意味も読み終わってから気づきました!!
期待値を上げずに読むべき!
なるべく今作は前情報や期待値を上げたり余計な予備知識無しで読んだ方が驚きが増すと思います!この記事でも極力ネタバレは無いように書いていますが、ある程度の情報はこれから読む方の頭の中に入ってしまいますが、それでも真相は見抜けないと思いますね~!!
今作が作者の最後の作品・・・!?
【黒百合】の作者 多島斗志之は今作を最後に家族等に書置きを残して失踪してしまっているのです・・・2021年現在も失踪したままで安否が分からないみたいです・・・・
もう一度【黒百合】のような技巧を楽しめる作品を改めて読めることと、多島斗志之のご無事をお祈りいたします。
【黒百合】
バンディー的オススメ度
★★★★★★★☆☆☆