ハイ!ど~も、バンディーです!!
今回紹介する作品は奥田英郎の犯罪小説【リバー】をネタバレ無しで紹介していきたいと思います!!
奥田英郎作品はあまり読んだ事無いのですが、たまたま書店で見かけた時に本の帯の煽り分とあらすじ、カバーイラストを見て直感で読もうと決めました!!
ミステリーランキング入りしそうな予感!?
概要
- 作品名:【リバー】
- 作者:奥田英郎
- 発売日:2022年9月26日(単行本)
- 発行所:集英社
あらすじ
同一犯か? 模倣犯か?
引用:集英社
群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で相次いで女性の死体が発見!
十年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口が、街を凍らせていく。
かつて容疑をかけられた男。取り調べを担当した元刑事。
娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親。
若手新聞記者。一風変わった犯罪心理学者。新たな容疑者たち。
十年分の苦悩と悔恨は、真実を暴き出せるのか───
人間の業と情を抉る無上の群像劇×緊迫感溢れる圧巻の犯罪小説!
奥田英郎
バンディーは奥田英郎作品はほとんど読んだ事が無く、【空中ブランコ】で直木賞を受賞しているんですね~!直木賞を受賞したから凄い訳ではないですが獲ろうと思っても簡単に受賞出来るものではないので肩書きとしては強い気がします。米澤穂信【黒牢城】も直木賞受賞しましたがこちらは面白かったです!!
一応奥田英郎の名前は昔から知っていましたが映画化もされた【イン・ザ・プール】を少し観ましたが駄目でしたね~!ノリもついていけずうすら寒い印象が残り奥田作品全てに拒否反応がでました(笑)
ただ他の作品は大藪春彦賞や吉川英治賞、柴田錬三郎賞等数々の有名どころの賞を受賞してるのは素直にスゴい事だと思います!
奥田作品敬遠していましたが【罪の轍】を読んで認識を改めました!昭和38年を舞台にした犯罪小説で面白かったので今作【リバー】も読む決心が出来たんですね~。
10年前の事件の再来・・・
今作【リバー】はタイトルにも書いてありますが群馬県と栃木県の間に流れる川の河川敷でそれぞれ女性の死体が発見されるところから物語は始まります!
死体発見はミステリー小説によくある導入部分ですが、今作【リバー】が他とは違うのは群馬県と栃木県それぞれに死体遺棄が発生したのとさらには同じ場所で10年前にも似た事件が起こり犯人逮捕に至ってない部分がミソになっています!!
犯人は一体誰なのか?10年前の事件と関係はあるのか?ただの模倣犯なのか?先が気になる物語と過去の事件が関わってくる展開は目が離せません!!
警察の執念が伺える!
今作【リバー】基本は犯罪小説ですが警察小説の要素も強く、今野敏の人気警察小説【隠蔽捜査シリーズ】みたいな警察官の派閥争い?確執?みたいな要素は無くどちらかと言えば横山秀夫【64】の方が読んでいて近い気がしました!
ただ【64】ほどシリアスでは無く読んでいてもテンポが良く軽く読めるのは奥田英郎の手腕だと思います!(流石!!)群馬県と栃木県の警察で合同捜査を行うようになります!
10年前の事件では今回と同じく合同捜査をしていましたが結果は犯人を逮捕する事が出来ず失敗に終わったと言えます!やはりおなじ警察官同士でも県同士の争いや確執があり些細な捜査情報も共有出来ず、そこが失敗の原因なんですね~。
ただ今回は10年前の事件の失敗を教訓として、別の県の警察官同士が協力して捜査して行く展開は読んでいて胸がアツくなりました!そこには『犯人逮捕』という共通の思いがあるからこそ警察官の執念が伺える話になっています!
様々な登場人物達
今作【リバー】は警察官だけではなく様々な人物達が登場します!特定の主人公がいる作品とは異なり群像劇のような作品になっています。
話によって語り手が変わって行くのでややこしく読みづらいかもって思いましたが、いざ読んでみると確かに様々な登場人物がいるので覚えるのは大変でしたが、覚えてしまえば全ての登場人物達に思い入れができ飽きることなく読み進めれたのには驚きました!
登場人物達も『刑事』、『元刑事』、『容疑者』、『10年前の容疑者』、『被害者家族』、『新聞記者』、『犯罪心理学者』等々もっと色々登場しますがとりあえず沢山います(笑)これだけの人数を書き分けるのもスゴいしそれぞれのパートから『事件』が描かれていきます。
大きくは3つの捜査?がありそれぞれ関係性する人物が登場しますが、10年前の『容疑者』池田を捕まえようとする引退した元刑事滝本や事件の容疑者の1人を相手する事になる犯罪心理学者の篠田等がバンディーは特にお気に入りでスピンオフを作って欲しいぐらいでした!!
様々な視点で描かれる話にそれぞれ真相に近づくにつれて、『リバー事件』の真相にも迫っている構成は見事でした!!
ミステリー小説だとは思わないこと!?
今作【リバー】をミステリー小説だと思って読んでしまうと肩透かしを喰らう方は必ずいると思うのでその点は気をつけて欲しいと思います!ミステリー小説と言うよりは群像劇の犯罪小説が近いです!!
ネタバレギリギリの説明にはなってしまいますが、これから読もうと思ってる方に是非読んで欲しいのであえて書きますが今作【リバー】は『スッキリした終わり方ではなく、読者に想像を託すような終わり方』になっています!宮部みゆきの【ユージニア】に近い終わり方でした。
なので最後までスッキリした終わりかたでなければ嫌だ!って方には合わないと思います!しかし、それ以上にそれらを覆す面白さを持つ作品なので安心して読んで下さい!終盤の物語が収束して行くところは圧巻でした!!
今作【リバー】は600ページ越えの大作ですが読む手を止められない程の傑作なので気付くと読み終わってるはず!?映画化も期待したいですが少なからず年末のミステリーランキング上位に食い込んでくるし、何らかの賞を受賞しそうな作品だと思います!久しぶりに満足できた作品でした!!
【リバー】
バンディー的オススメ度
★★★★★★★★★☆