10年ごとに物語を遡る構成がいい!?吉川トリコ【あわのまにまに】ネタバレ無し感想!!

ハイ!ど~も、バンディーです!!

今回紹介する作品は吉川トリコの小説【あわのまにまに】をネタバレ無しで紹介していきたいと思います!!

設定が面白く気になりましたし、作者吉川トリコ作品も初めてなので色々と楽しみな作品でおります!

2029年~1979年まで遡って語られる話

概要

  • 作品名:【あわのまにまに】
  • 作者:吉川トリコ
  • 発売日:2023年2月22日(単行本)
  • 発行所:角川

あらすじ

「好きな人とずっといっしょにいるために」、あのとき、あの人は何をした? 
2029年から1979年まで10年刻みでさかのぼりながら明かされる、ある家族たちをとりまく真実。

あの時代、確かにそうやって、わたしたちは生きていた。
隠されていた「わたしたちの秘密」を理解したとき、あなたは平常心でいられるか。

引用:角川

山本周五郎賞ノミネート作品

今回紹介している【あわのまにまに】山本周五郎賞にもノミネートされた作品で、以前に紹介した永井紗耶子【木挽町のあだ討ち】が受賞しました。

読んだことあるかたなら分かると思いますが、【木挽町のあだ討ち】は素晴らし過ぎる作品なのでこの時に同じくランクインした作品は悲劇だと思います・・・。

ただやっぱり山本周五郎賞にノミネートされただけあって【あわのまにまに】だけしか味わえない面白さがありました!

10年ごとに語られる物語

今回紹介している作品【あわのまにまに】の大きな2つの特徴があり、『10年ごとに語られる物語』『過去に逆行していく構成』でこの部分があるからバンディーは今作を読もうと決めた要因の一つです!

時代や時間を遡る話自体バンディーは好きで今までにもジェフリー・ディーヴァー【オクトーバー・リスト】や映画ではクリストファー・ノーラン【メメント】【テネット】等は読んだり観ましたがどれも面白かったですね~。

今作【あわのまにまに】は2029年から話が始まり2019年,2009年,1999年,1989年,1979年と10年毎に時代を遡り全6章が物語を紡ぎます、各章ごとに主人公が違うのも面白かった部分です!

ある家族の物語

【あわのまにまに】は各章ごとに主人公は変わっていきますが大まかな登場人物達はほとんど同じなんですね~!

最初の登場人物は益子木綿で亡くなった祖母の遺品整理の為に祖母の風変わりな家でのやり取りが描かれています、直接登場しなくても名前だけが挙がったりほとんど第1章の時点でほぼ今作【あわのまにまに】の登場人物達がでてきます。

たくさんの登場人物いますが、その中でも物語のキーパーソンは木綿の母親で紺(木綿の祖母、1章で亡くなった人物)の娘である『いのり』です、ほぼ全ての章に登場しています、産まれる前から2029年(木綿の母親として)まで読む度に成長(逆行)しています。

肝心の『いのり』視点の章がないのが面白い作りですね~!しかもこの家族には読んでいて何やら『秘密』のようなものが感じられ、この正体が作品を通しての謎としていいスパイスになってます。

逆行する物語

1番の特徴は物語が逆行して語られる点ですが、遡るごとに先ほど書いたいのりの家族の『謎』・『違和感』の正体にも迫っていきます。

面白いのがその『謎』も完璧に答えが読者に明かされる事はない表現のしかたがまた憎いし、物語が10年感覚なのでその間に何が起こったのか読者に想像させる所も考察できる余地があるので読み終わった後余韻に浸れるのでgoodです!

ただ『謎』の部分はミステリー要素ではありますが、あくまでおまけ程度の要素でミステリー小説では無いのでその点は気をつけて下さい!

先ほども書きましたが全ての『謎』が明らかになるような作品ではなく、考察や余韻を楽しむ作品だと思うので全て解決してスッキリする作品が好きな方は合わないかもしれないです!

物語自体は普通・・・

今回紹介している【あわのまにまに】は物語が10年ごとに遡っていくのが特徴であります、そのせいで複雑に感じますが最終章から第1章まで読むと普通の物語でしかありません・・・。相関図が無いと分かりづらい点がマイナス要素でした。

冒頭に紹介したクリストファー・ノーラン【メメント】と同じ感想を抱きました、【メメント】も時系列を正しくしてみたら普通の映画ですからね(笑)時系列を組み換える事でややこしい作品だと錯覚しているだけです。

物語自体はいのりを中心とした家族の話で内容も『普通』とは何かを読者に問いかける作品ではありますが、昨今色々な考え方や夫婦、家族の在り方は様々でそのような問題を提示している作品ではあるので色々考えさせられましたね~。

一つ思ったのが今作【あわのまにまに】と同じ臭いがする瀨尾まいこ【そして、バトンは渡された】のように映像化した方が面白いかも知れませんね~!!映画化では描ききれないと思うので連ドラで丁寧に描いて欲しいです!

【あわのまにまに】

バンディー的オススメ度

★★★★☆☆☆☆☆☆

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