ハイ!ど~も、バンディーです!!
今回紹介する小説は宇佐美まこと【愚者の毒】をネタバレ無しで紹介していきます!
過去と現在の時代の話が行ったり来たりしながら過去の悲惨な出来事が一体どのように繋がっていくのか!?先が気になり一気読みした作品です!!
過去から現在に繋がる悲劇の物語・・・
概要
- 作品名:【愚者の毒】
- 作者:宇佐美まこと
- 発売日:2016年11月11日(文庫本)
- 発行所:祥伝社
あらすじ
1985年、上野(うえの)の職安で出会った葉子(ようこ)と希美(きみ)。互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。しかし、希美の紹介で葉子が家政婦として働き出した旧家の主(あるじ)の不審死をきっかけに、過去の因縁(いんねん)が二人に襲(おそ)いかかる。全ての始まりは1965年、筑豊(ちくほう)の廃坑集落で仕組まれた、陰惨(いんさん)な殺しだった……。絶望が招いた罪と転落。そして、裁きの形とは? 衝撃の傑作!
引用:祥伝社
日本推理作家協会賞受賞作!
今回紹介する【愚者の毒】は第70会日本推理作家協会賞を受賞した作品です!日本推理作家協会賞は1948年からあり現在2021年では第74回まで続いている賞でバンディーが読みたい作品を探すときに頼りにしている賞の1つです!もちろん受賞している作品も面白い物が多いです!
今現在ちょうどバンディーはこの日本推理作家協会賞を受賞した作品を読み漁さってまして以前紹介した作品、矢樹純【夫の骨】、桜庭一樹【赤朽葉家の伝説】、葉真中顕【凍てつく太陽】、柚月裕子【孤狼の血】等々がありますが他にもまだ面白い作品があるので読んでまた皆様に紹介していきたいと思います!!
1~3章の3部構成で真相に迫る
今作【愚者の毒】は3部構成で時代や語り手が変わりながら話が進んでいきます。
第1章:『武蔵野陰影』
1985年職業安定所で生年月日が同じ二人葉子と希美が出会い物語が始まります、2人の女性はそれぞれに人には言えないような過去があり、葉子は妹夫妻が亡くなり甥の達也を1人で育てていますが関係は良くありません。
希美も人魂に追いかけらると思い込む程過去の出来事に苦しめられていますが、それでも葉子と希美は関係を深めていき親友のような間柄になっていきます。
希美から旧家難波家の家政婦の仕事を紹介され当主の寛和(先生)と先生とは血が繋がっていない亡き嫁の生き別れた息子由紀夫、難波家の人々と交流を深めて行く葉子と達也、しかしいい方向に向かっていってる矢先にある出来事が起こり・・・
第2章:『筑豊挽歌』
急に舞台は1965年の福岡の筑豊に移り読者は驚くことになります(笑)もちろん話の舞台が変わったからと言って本編に関係ない事はもちろん無く(当たり前ですが)、ある登場人物の過去の出来事が語られていきます。
この筑豊で起こった出来事が全ての悲劇の始まりで、先ほど紹介した1986年が舞台の1章へと繋がっていくのです。2章を読む事で登場人物の背景を知る事になりなお一層物語に厚みが出てきます。
1章でもそうですが2章でも伏線が散りばめられているのでお楽しみを!!
2章は特に方言(博多弁?)が文章で用いられているので読むのに慣れるまで少し時間がかかるかもしれません!バンディーも苦戦すると思われましたが、何と以前紹介したバンディーイチ押し小説、西村健【地の底のヤマ】も同じ様に福岡の大牟田を舞台にしており、今作【愚者の毒】でも書かれている実際に起こった事故『三井三池単行爆発事故』が両方の作品で出てきており共通点もあり、方言も【地の底のヤマ】の方が強かったので以外にもすんなり読む事が出来たのはありがたかったですね~。毎回【地の底のヤマ】が出てきたら言っていますがミステリー小説好きな方は【地の底のヤマ】は死ぬまでには必ず一度は読んでおいた方がいい作品です!!
第3章:『伊豆溟海』
最後の章は所々話が出てきた2015年が舞台で伊豆半島の高級老人ホームで語り手は難波葉子で、夫の難波由紀夫との間に起こった出来事を回想を交えながら話します。最初読んだ時はこの老女は誰だかあまり分からなかったですが3章まで読んだ時点で色々な事が判明しているので一体ここからどのように話が進んで行くのか気になって仕方がありませんでした!!
最後の章なのでもちろんここから本作【愚者の毒】真相が明かされるのですが・・・
読み終わった後は切なさと悲しさが入り混じる
【愚者の毒】は今回読むまでに存在は知っており何回か手には取っては止めてまた違う日に手には取っては止めてを繰り返した作品です(笑)その理由にはやはり本の表紙のイラストが何とも古臭く不気味に思えたので中々手が出なかったんです!やっぱり表紙のイラストも大事だと改めて思いましたね~。
昔の作品でも表紙のイラストを変えるだけで気になり手に取る人が増え売り上げ上がった商品があると思うので今作【愚者の毒】も表紙のイラストを変えればもともと十分面白い作品なのでもっと人気が出ると思うんですけどね!ただ読み終わった後にはアナログで不気味な表紙のイラストも内容を表していると思うと今のままの表紙でもいい気はします(笑)
【愚者の毒】を読み終わった後は悲惨な過去がを抱えた人物たちの物語なので決して明るい物語ではないのですが、作品にくぎ付けになるような内容で先が気になって仕方がありませんでした、ずっと気になっていた登場人物に言葉が離せない障害を抱える達也が1章の最後で葉子に向かって【アコタン】と叫ぶのですがその意味を知った時は涙が出そうになりました・・・
所々に散りばめられた伏線を綺麗に回収し次第に真相が判明していくと驚かされる事も多かったですが、やはりラスト1行(それまでのやり取りも含め)は一番印象に残りましたね~!!もっと早くに読んでおくべきだった作品でした。
【愚者の毒】
バンディー的オススメ度
★★★★★★★★☆☆