ハイ!ど~も、バンディーです!!
今回紹介する小説は以前紹介した【女王はかえらない】、【彼女は戻らない】等良質な作品を送り出した作家降田天の三作品め【すみれ屋敷の罪人】を紹介していきます!
小説【女王はかえらない】の紹介記事はこちらです!!
小説【彼女はもどらない】の紹介記事はこちらです!!
戦時下で起きた出来事の真相は・・・?
概要
- 作品名:【すみれ屋敷の罪人】
- 作者:降田天
- 発売日:2018年12月7日(単行本)
- :2020年1月9日(文庫本)
- 発行所:宝島社
あらすじ
長らく手付かずだった戦前の名家・旧紫峰邸の敷地内から発見された白骨死体。そこで暮らしていた屋敷の主人と三人の姉妹たちは、終戦前に東京大空襲で亡くなったはずだったが……。死体は一体誰のものなのか。かつての女中や使用人たちが語る、一族の華やかな生活、忍び寄る軍靴の響き、突然起きた不穏な事件。二転三転する証言から、やがて戦下に埋もれた真実が明らかになっていく――。
引用:宝島社
前作までとは違った作品
今回紹介する降田天の【すみれ屋敷の罪人】は先ほども書いた、前作【女王はかえらない】や【彼女はもどらない】とは違った出来になっていると感じました。
前作までは主に現代が舞台ですが、今作【すみれ屋敷の罪人】は戦時下の時が主な舞台となります、戦時下の出来事を回想するパートと現代のパートに分かれています。前作と書いていますがシリーズものでは無いので今作【すみれ屋敷の罪人】から読んでも全く問題ありません!!
【女王はかえらない】や【彼女はもどらない】はトリックに驚かされましたが、今作【すみれ屋敷の罪人】はバンディー的にはトリックの派手さは無いものの、隠された真実が明かされた時に心に刺さる内容になってるように思えました!!
戦時下だからこそ活きた設定
先程書いた通り【すみれ屋敷の罪人】は主に戦時下のパートの出来事が重要で、現在のパートで紫峰邸で白骨死体が発見されそれが一体誰なのか?その謎を解き明かしていくのですが、紫峰邸の当時の使用人に青年の刑事が聞き込みに回る形で話は進み、戦時下の回想シーンで当時の出来事が徐々に判明していくのです。
その中である重要な出来事は当時の昔ながらの設定が活きてこそのトリック!?になっています、読み終わった後に分かって頂けると思います!
前回紹介した深水黎一郎【美人薄命】も同じく現在と戦時下のパートに分かれているので同じ構成になっている作品です!しかし、同じ構成でも全く違う読後感やトリックだったので気になる方は一度読んでみては如何でしょうか!?
小説【美人薄命】の紹介記事はこちらです!!
やはり降田天作品!最後に驚きが待っています!!
青年の刑事が当時の使用人に話を聞きに行くのですが、最初話していた証言が3人に話を聞きに行くごとに証言に食い違いが出てきて、二転三転するので一体どれが真実か読んでいてバンディーは分からなくなりました(笑)
飛びぬけて大きなどんでん返しは無いのですが、散りばめられた伏線は回収されますし最後の最後で驚きは待っています!派手さは無いものの人々の内面にフォーカスを当てた内容になっています!タイトルにもある『罪人』とは一体誰の事を指すのか?たった一人がついた嘘がやがてその後の展開に悲劇を巻き起こしてしまうのです!
紫峰邸に関わる人たちの『忠誠心と愛』を感じ、無駄意味なトリックで矛盾があるような作品より、今作【すみれ屋敷の罪人】のように隠された真実が浮かび上がってから見えてくるものがある作品の方が読んだ後も納得出来ます。
【すみれ屋敷の罪人】を読んでみてバンディーは降田天の新たな境地と進化が垣間見えた気がします、人を好む作品ではありますが、この先の降田天作品にも期待です!!
【すみれ屋敷の罪人】
バンディー的オススメ度
★★★★☆☆☆☆☆☆